手紙

 

 

 

 

私は、いや、

 

 

誰しもが

 

 

手紙を書くのに一苦労する。

 

 

このご時世だ、

 

 

普段から手紙を書き慣れている人などほとんどいないだろう。

 

 

 

 

私も、なにかの祝い日には

 

 

相手を慮(おもんぱか)り

 

 

手紙を書いたりするが、

 

 

 

便箋との睨めっこが長く続く。

 

 

 

それにも飽きたりしてタメ息をつきながらペンの端を噛んでいる。

 

 

 

アイタタタ……、また天を仰ぎすぎて首を傷める。

 

 

 

 

 

 

 

 

じつは手紙はそれくらいで丁度イイ。

 

 

 

たまに自称、手紙が得意な人がいるが

 

 

慣れた手紙には

 

 

どうだ?という感情が見え隠れする。

 

 

まともな人にはそれが嫌味にしか見えなくなる。

 

 

 

その傲慢さが、手紙をつまらないものにしてしまう。

 

 

 

芝居が上手いと言われる役者の演技と同じ類だ。

 

 

 

 

手紙は長かろうが、短かろうが、

 

 

たいがいはひとつのことしか伝えられない。

 

 

ふたつ、みっつ伝えようとすると

 

 

肝心のひとつも伝わらなくなるような気がする。

 

 

 

ましてや相手の前ではなく、

 

 

礼や詫びを手紙で済ませるのだから

 

 

やはり的を絞るのがよいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

私は十年ほど前にいただいたある手紙を

 

 

大切に仕舞っている。

 

 

 

あまり綺麗な字とは言えないが

 

 

丁寧さが伝わりとても眺めのいい手紙であった。

 

 

 

すぐに返事を書けばよかったが、

 

 

上手さばかりを気にして覆水盆にかえらず。

 

 

もう宛先人は手紙が届くことはない場所に身を置いていらっしゃる。

 

 

 

下手でも何でもいいからすぐにでも礼状を出せば良かったと

 

 

今でも後根をかみしめている。

 

 

 

 

 

 

 

手紙はイイ。

 

 

メールもラインも便利だが、

 

 

すこし手間がかかるもののほうに良薬は隠れている。

 

 

 

 

 

 

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