おひとり様

 

 

 

 

 

 

「孤独が人を成長させるんです」

 

 

 

もうさまざまなところで同じようなことを書いたが、

 

 

先日またもやこの言葉を口にした。

 

 

 

 

 

「だって寂しいんですもの。もうすぐクリスマスだっていうのに、独り身だなんて、や。カレシがほしい」

 

 

 

たしかにこの時期になると街全体がはやし立てるかのように煌めきはじめる。

 

 

聖夜とやらには、毎年たくさんのカップルがいちゃつく。

 

 

 

そんななか、

 

 

寂寥が漂う夜を過ごすのが

 

 

後輩の彼女はいささか嫌らしい。

 

 

 

 

「その寂しいという気持ちがとても大事」

 

 

「ほんとですか」

 

 

「ええ、イイ恋人がいる人は、孤独で、淋しい時間、自分は何なのかを見つめていた人です」

 

 

 

「でも人肌恋しいんです」

 

 

 

「人肌恋しいなんてアマがいう台詞ですよ」

 

 

 

 

 

「どうかクリスマスまでには…」

 

 

 

 

そんなもの、サンタに頼みなさい、と言いかけて言葉を呑み込んだ。

 

 

 

「では手っ取り早く、そこらへんをふらふらしている男を捕まえてはどうでしょう。男をひっかけるつもりなら、釣りと同じで、魚が餌にしっかり喰いついてから竿を上げるのです」

 

 

 

「もう。手っ取り早くなんて、それじゃあダメなんですよ」

 

 

 

 

 

分かってはいるんだ…。

 

 

 

 

 

 

言い方は悪いが、

 

 

簡単に手に入るものなど、すぐに使えなくなる。

 

 

 

 

世の中には、さまざまな人が、さまざまな場所が

 

 

あなたを待っている。

 

 

 

ただし虚しく住きてみることを体得した人だけが

 

 

それらに巡り逢う。

 

 

 

 

すこし手間がかかってしまうが、これは必ずなんだ。

 

 

 

 

 

「ああ、それとひとつ言っておきますが、クリスマスにいちゃつくヤツなどみんな馬鹿ですよ」

 

 

 

「そうなんですか?ではクリスマスのご予定はあなたもお独りで」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いえ、私も、馬鹿になってやろうと思っています」

 

 

 

 

彼女はあきらかに機嫌をそこねて私のそばを去った。

 

 

 

 

人はすべて、

 

一人で生まれ、一人で去る。

 

 

そのことだけがオギャーッと生まれた時に決まっている。

 

 

 

 

恋愛もいっしょ。

 

 

両思いなど存在しない。片想いが偶然にもふたつあるだけである。

 

 

 

 

 

 

 

いまは、踏ん張りなさい。

 

 

 

 

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